コンビニのある風景。それは、現代を生きる私達にとってもはや原風景と言えるのかもしれない。旅先、知らない土地や海外においても、コンビニを見つけては安心された経験のある人も多いのではないだろうか。コンビニは、私達の生活の中で灯火のような存在なのかもしれない。
震災前、豊間のビーチは、サーファーたちで賑わった。今、浜辺に人影は見当たらない。浜辺に建っていた住宅も今は、姿を消してしまった。近隣の住民は避難の為、人口は減ってしまい、街道を走る車の数もまばらである。
海辺を走る382号線沿いにセブンイレブンいわき豊間店は、今も営業を続けている。仮設の店舗と移動販売で店を切り盛りしているのは、オーナーのご夫妻と出向の従業員の方の3人。
店内には、パンやお弁当が少量並べられている。コンビニ特有のポスレジはない。
あとは、移動販売車にて、市内を移動しながら販売をしている。
今回のいわき市来訪において、私は、そこで生きる人々のくじけないたくましさを否応無しに感じさせられている。福島県を取り巻く状況は、周知のとおり、最悪なのかもしれない。しかし、そんな今でも、震災前と同様、「東北の湘南」と呼ばれたいわきにはサンシャインが降り注ぎ、そこで根を張る人々は、逆境をものともせず、精一杯生きている。
人口が減少してしまったこの地においての営業再開には不安があるとのことながらも、12月中旬に被災した店舗を修復してリニューアルオープンをするという。
豊間の灯火となるべく、コンビニはそこに建っている。
修復工事は、これから。
柱だけ残された被災した店舗の向こうには、静かな夕暮れの海が広がっていた。